意志 a will 2003 4 20

ある方から、こんな話を聞いた。
ある家に年老いた老犬がいた。
ある冬の寒い日、老犬をいたわる飼い主を見て、ある方は飼い主に子犬を与えた。
飼い主は老犬の家の隣に、子犬用の家を建てた。
老犬は、飼い主の愛情が子犬に移ることに不安と悲しみを感じた。
老犬は、元気に動き回る子犬を見て、自らの衰えと、
自らの死が近いことを悟ることになった。
しかし、子犬は決して、自分の家に入ることなく、老犬と一緒に寝た。
老犬は、子犬から伝わってくる暖かさで、生命の暖かさを知り、
また、きびしい冬の寒さをしのげると知って、
なぜ子犬が来たのかを知ることになった。
老犬は、子犬に対して持った、嫉妬とも思える感情が、
いかに愚かなことかを知ることになった。
春うららかな日、元気にはしゃぐ子犬。
死んだかのように見えた木々が、次々と花を咲かせる。
力強い生命の躍動が春を知らせるが、老犬には、それが自分に死を知らせることになった。
だんだんと気持ちが消えていく。
だんだんと見えなくなっていく。
春の日差しを受けて、暖かくなっていく大地。
しかし、老犬の体は、ゆっくりと、しかし、確実に冷たくなっていく。
暖かい大地が老犬の体を温めても、それは、むなしさへと変わる。
子犬は老犬の最後を見て、自分の家に住む時がきたことを知る。

犬は、あれほど元気だったのに、あなたより早く確実に衰えていく。
犬は、あなたより後から来て、先に行く。
なぜと問う前に、そこに意志が働いていることに気づくべきなのです。
人間にもっとも身近な動物、犬の役割に気づかなくてはならない。
犬を通して、何を知らせているかを知るべきなのです。

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